
心電図検定は、受験資格がなく誰でも受けられる試験です。そのぶん「何級から受ければいいのか」「どれくらい勉強すればいいのか」が分かりにくいので、順に整理します。
試験の情報は日本不整脈心電学会(JHRS)の公表内容をもとにしています。検定料や日程は変わることがあるので、申し込む前に必ず公式サイトで確認してください。この記事は2026年9月時点の内容です。
心電図そのものの学び方は心電図の学習は何から始める?おすすめの順番と勉強法にまとめています。
心電図検定とはどんな試験か
日本不整脈心電学会が主催する、心電図の知識と技能を評価する検定です。押さえておきたいのは次の6つです。
- 受験資格はありません。年齢も、学会員かどうかも問われません
- どの級からでも受けられます。下位の級に合格している必要はありません
- 年1回の実施です
- 併願はできません。1回に受けられるのは1つの級だけです
- 全級とも50問のマークシートです
- 級は4級(基礎)・3級(初級)・2級(中級)・1級(上級)の4つです
受検者数は年々増えていて、第11回(2025年12月)は24,613人が受検し、16,816人が合格しています。発足当初は約900人だったので、10年で大きく広がった検定です。
2級から4級では、受検者のいちばん多い職種は看護師です。3級・4級では学生が2番目に多くなっています。
何級から受けるか
級ごとの内容
4級(基礎)
- 心電図の基礎的な判読力。モニター心電図の比率が他の級より高い
- 50問/70分/検定料5,000円
3級(初級)
- 基礎から中等度の判読力。12誘導心電図が中心で、危険な不整脈も出る
- 50問/90分/検定料6,000円
2級(中級)
- 中等度から高度の判読力。疾患による所見やペースメーカ心電図も出る
- 50問/90分/検定料8,000円
1級(上級)
- 高度な判読力。病態からの推論、冠動脈の狭窄部位の推定など
- 50問/90分/検定料10,000円
合格率
第11回(2025年12月)の合格率はこうでした。
- 4級 84.9%
- 3級 76.8%
- 2級 62.7%
- 1級 49.0%
3級・4級は8割前後で安定しています。1級は4年連続で合格率が下がっています(54.7%→50.9%→49.9%→49.0%)。
迷ったときの決め方
- 心電図をこれから学ぶ、モニター心電図が中心:4級から。モニター心電図の比率が高いので、病棟の仕事と直結します
- モニターは読める。12誘導も学びたい:3級から。看護師の方がいちばん多く受けているのがこのあたりです
- すでに12誘導を読んでいる、検査や循環器が専門:2級から
- 教える立場になりたい、専門性を示したい:1級
下の級から順番に受ける必要はありません。 ただし、いきなり上の級に挑んで落ちると、そのまま心電図から離れてしまう方もいます。1回で受かるところから始めて、続けるほうが結果的に早く進みます。
なお、申し込んだあとの級の変更・キャンセル・返金・譲渡はできません。級は慎重に決めてください。
必要な勉強時間の目安
公表されている受検者の体験をもとにすると、目安はこのあたりです。
- 4級 30〜100時間
- 3級 30〜150時間
- 2級 60〜180時間
幅が大きいのは、始める時点の知識量が人によってまったく違うからです。すでにモニター心電図を毎日見ている方と、まったくの初めての方では、必要な時間が変わります。
1日30分を4か月続けると約60時間、1時間なら約120時間です。まとまった時間を取るより、毎日少しずつのほうが続きます。
勉強の進め方(4ステップ)
ステップ1 基礎を先に終える
いきなり問題集から入らないでください。心臓の電気の流れ、波の意味、読む手順。ここが入っていないと、問題集は答えの丸暗記になります。
基礎の本を1冊終えるか、動画で順番に学ぶ。まずここです。目安は全体の3分の1くらいの時間をここに使うイメージです。
ステップ2 問題集を1周して、苦手を見つける
基礎が終わったら、問題集を解きます。この段階の目的は点を取ることではなく、自分がどこで間違えるかを知ることです。
間違えた問題には印をつけて、分野ごとに数えてください。不整脈で落としているのか、心筋梗塞の部位で落としているのか、脚ブロックで落としているのか。ここがはっきりすると、次にやることが決まります。
ステップ3 間違えた分野だけ、本や動画で深める
苦手が分かったら、その分野だけを基礎の本に戻って読み直します。全部をやり直す必要はありません。
ここでなぜその波形になるのかまで戻るのが大事です。答えを覚え直すだけだと、少し形を変えられたときにまた間違えます。
ステップ4 もう一度問題集を解く
2周目です。1周目に間違えた問題を中心に解き直します。ここで正解できれば身についています。同じところをまた間違えるなら、ステップ3に戻ります。
問題集は何冊も買うより、1冊を2周・3周するほうが力になります。
使う教材
公式のもの
- 『改訂3版 心電図検定2級/3級 公式問題集&ガイド』(心電図検定委員会 編著/メディカ出版)。2級・3級の想定問題が計111問
- 『実力心電図 −「読める」のその先へ−<改訂版>』(日本不整脈心電学会 発行)。A4判340頁
公式のものは2冊だけです。学会は出題範囲を公表していないので、市販の対策本と組み合わせる形になります。
学会が無料で出しているもの
意外と知られていませんが、学会自身が無料の教材を出しています。
- YouTubeの検定対策講座。検定の概要、マイスター対策、心電図クイズなど。実際の検定委員が解説しています
- 心電図クイズ。50問以上が公開されています(更新は止まっていますが、問題としては使えます)
- 心電図検定対策講座。地方会や学術大会にあわせて年に数回開催され、学会員でなくても参加できます
- 心電図フロンティアセミナー。初級から中級のコースがあり、eラーニングで受けられます
まずは無料のものから試して、足りないところを本で補うのが、お金をかけない進め方です。
市販の対策本
級ごとに向いている本は心電図の本のおすすめに整理しました。
つまずきやすいところ
- 基礎を飛ばして問題集から入る。答えを覚えても、本番で形が変わると解けません
- 問題集を何冊も買う。1冊を繰り返すほうが身につきます
- 間違えた理由を残していない。「なんとなく間違えた」で終わらせず、どこで判断を誤ったかをメモしてください
- 級を背伸びして決める。落ちると続かなくなります
- 直前にまとめてやろうとする。50問を90分で解く試験なので、その場で考える速さが要ります。速さは直前には身につきません
看護師が心電図検定を受けるメリット
正直に書くと、検定に受かっても給与が上がることは多くありません。それでも受ける価値があるとすれば、次の3つです。
- 体系的にまとまる。現場で出会った順にバラバラに覚えるのではなく、全体を筋道立てて学べます
- 根拠をもって判断できるようになる。「なんとなく変」ではなく「ここがこうだから変」と言えるようになります
- 客観的に示せる。循環器やICUへ移りたいときに、学んできたことを形にして示せます
そして、期限のある目標ができることです。心電図の勉強は締め切りがないので、後回しになりがちです。年1回の試験があると、そこに向けて手が動きます。
よくある質問
心電図検定は独学で受かりますか
受かります。ただし基礎を飛ばすと遠回りになるので、順番だけは守ってください。
4級と3級、どちらから受けるべきですか
モニター心電図が中心の職場なら4級から、12誘導も読む必要があるなら3級からがおすすめです。4級はモニター心電図の比率が他の級より高いので、病棟の仕事と直結します。
落ちたらどうなりますか
翌年また受けられます。回数の制限はありません。ただし申し込み後のキャンセルや返金はできないので、そこだけ気をつけてください。
試験当日に気をつけることはありますか
受検票は試験の約3週間前に届きます。写真を貼っていないと受検できません。遅れた場合も、説明開始から20分以内に着けば受検できますが、時間の延長はありません。
合否の発表は試験の約2か月後です。
古い体験記を読むときの注意はありますか
あります。検定の実施時期は2度変わっています。第1回から第5回は8月、第6回から第8回は翌年1月、第9回以降は12月です。そのため2023年は1月と12月の2回ありました。「試験まであと◯か月」という記述は、そのまま当てにしないでください。
検定の前に、土台をつくる
心電図検定の対策でいちばん効くのは、対策そのものより土台をつくることです。電気の流れと波の意味、そして読む手順。ここが入っていれば、あとは問題を解いた分だけ伸びます。
心電図CAMPは検定対策の講座ではありませんが、この土台の部分を4週間で学ぶ形にしています。心臓の電気の流れから始めて、モニター心電図のリズム、12誘導の主な所見までを順番に扱います。くわしくは心電図CAMPとはをご覧ください。
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参考文献
- 日本不整脈心電学会 心電図検定 公式サイト検定の目的、受検資格、各級の内容と検定料、合格実績。この記事の試験情報はここを出典としています(2026年9月時点の公表内容)
- 日本不整脈心電学会 心電図検定 合格実績第11回(2025年12月)の受検者数・合格者数・級別合格率
- 総説「心電図検定が切り拓いた10年」(心電図 45巻4号 2025)受検者数の推移、級別の受検者職種、合格率の年次推移

